焚き火って雨だとできないって思ってませんか?確かに何の対策もなしに雨で焚き火をしたところで鎮火してしまうだけです。今回はキャンプ歴30年の雨男なキャンプマンである「なかむらしんご」さんに雨の場合での焚き火の楽しみ方や魅力、場所選び、具体的な準備方法まで教えてもらいました。雨焚き火の不思議な魅力とは一体何なのでしょうか?
もくじ
雨キャンプでの焚き火
今度のキャンプ焚き火をする予定だったのに天気予報が雨なんです… 雨で焚き火は無理ですよね?
それは雨の具合と準備によるかな~
キャンプ歴30年のベテラン「なかむらしんご」さんに聞いてみたよ!
なかむら しんご さん
職業: キャンプライター・コピーライター
居住地: 岡山県
スキル:行動心理学をベースとしたライティングスキルを活かし、成果にコミットした記事の執筆
経歴:
■歯科技工士として20年間働いた後、コピーライターへの夢を叶えるために6年前に転身
■APCオンラインアカデミーで行動心理学ベースのライティングスキルを学ぶ
■現在はキャンプライター以外にクラファン専門ライターとしも活動中。
■週末は外遊びを探求
将来の夢:自分自身の思いを表現し、出会った人々にワクワクを与える人間として活躍すること
Twitter:@LTeracohoo
「週末、せっかくキャンプなのに…また雨か。」
こんにちは、自他ともに認める雨男なキャンプマンです。自然を楽しむキャンプに大きな影響を与える雨。
キャンプ歴30年の私も幾度となく、雨の中でキャンプをした経験があります。
静かに降る雨は「零雨(れいう)」、静かにしとしと降り続く雨は「そぞろ雨」。日が照っているのに降る雨は「狐の嫁入り」なんて言われますよね。日本には雨を表現する呼び名が400種類以上あるそうです。
中でも厄介なゲリラ豪雨に遭遇した時は、大粒の雨によって一瞬で焚き火が鎮火。追い打ちをかけるように焚き火台に雨水が溜まっていきバケツ状態に…。
それを傍観しながら友人と無情の大笑い。ほどなくしてテントに退避!なんてこともありました。
そんな雨キャンプを繰り返していたら周りから雨男と言われるように…。
それでもキャンプをしたい。焚き火をしたい。なんて思っていたある雨の日に誘いこまれた不思議な雨焚き火の世界がありました…。
今回、雨男なキャンプマンが、雨焚き火の不思議な魅力や準備方法、注意するポイントについて語ります。さらに雨でも食べたくなるキャンプ飯も紹介します。
雨キャンプで焚き火なんて論外..⁈
”キャンプと言えば焚き火!焚き火と言えばキャンプ!”
なんて思っている私ですが、実際は「雨の日のキャンプは濡れてイヤだ。」とか「雨キャンプで焚き火なんて論外」なんて言う人が大半です。
でも、雨焚き火には晴れの日には絶対に味わうことができない不思議な魅力があります。あなたもこれから話すことを聞いたら雨焚き火を体験したくなりますよ。
雨の中でも焚き火はできる?
そんなこと言っても…
「やっぱり焚き火は晴れた日にしたい!」
「雨が降ったらキャンセルします。」
「そもそも焚き火って雨でもできるの?」
なんて色々な声が聞こえてきそうですが、結論からお伝えすると雨でも焚き火はできます。じゃあ、できる前提でさらに雨焚き火を堪能するためにはどうすればいいのでしょうか?
雨焚き火が可能な場所
雨焚き火を堪能するために最も重要なのは場所。
もっと具体的に言うと屋外で火が使える開放的なところで屋根がある場所であれば、雨焚き火を心ゆくまで楽しむことができます。
ここでは雨焚き火ができる屋根、もしくはその代わりになるものを紹介します。
雨焚き火ができる場所その1:森林サイト
森や林など、樹木が密になっている森林サイトがあるキャンプ場では、枝と葉っぱが交差し合いある程度の雨であれば凌ぐことができます。
さらにこれからの季節は、水分を多く含み、光合成をした樹木からの栄養が枝から新芽や若葉に流れていくのでより密集した天然の屋根が形成されていきます。
その下でする雨焚き火。炎を眺めながら、耳を澄ますと、五感が研ぎ澄まされていき、自然との一体感を感じることができます。
雨焚き火ができる場所その2:全天候型キャンプ場
日本全国には色々なキャンプ場があります。広島県三次市にある「いこいの森弦法山キャンプ場」にはウイングドームと呼ばれる巨大な屋根のある全天候型キャンプ場があります。
この大きな屋根の下であれば、大半の雨は凌ぐことができます。ちなみに写真は大雨の時のキャンプシーン。
車ごと乗り入れることが可能なフリーなサイトなので好きなところにテントを設営することができます。
もちろん焚き火も可能。外の雨を眺めながらの焚き火はちょっとした優越感すら感じます。
雨焚き火ができる場所その3:タープ
「屋根がなければ作ってしまえ!」
てなわけで次に紹介するのはタープの下で雨焚き火を楽しむ方法。これこそ雨男キャンプマンが最もおススメする雨焚き火のスタイル。
車ごと乗り入れることが可能なフリーなサイトなので好きなところにテントを設営することができます。
これに関しては注意する点も含めてもう少し深堀して紹介していきます。
ポイント1:素材
タープがあれば雨が降っていても焚き火は可能です。ただ、注意すべき点がいくつかあり、その一つが素材。焚き火の炎や火の粉は時として想像以上に高く上がることがあります。
そのためタープに穴が 開くことや、最悪燃えてしまう危険もあります。以上の理由からタープの素材選びは最重要。
化学繊維のみのポリエステル素材は熱に弱く、ちょっとした火の粉でもタープが溶けて穴が開いてしまいます。
一方、コットンやTC(ポリコットン)で作られたタープは難燃素材のため、ある程度の条件のもとであれば焚き火をすることが可能。
ただ、絶対に燃えないわけではないので、次にお伝えする距離などの一定のルールを守って焚き火を楽しみましょう。
ポイント2:空間
タープの下で雨焚き火を楽しむ場合、空間を確保することも重要なポイントになってきます。
焚き火の周辺は輻射熱(ふくしゃねつ)が広がり高温になることや、雨の中で水分を含んだ薪を加熱することで、想像以上に爆ぜることがあります。
※輻射熱(ふくしゃねつ)…赤外線などの熱線によって伝わる熱のこと。
そのため焚き火とタープの距離は一定程度確保する必要があります。
横方向(幅)は1m、高さ(縦方向)は2mを最低でも確保し、タープだけでなく、燃えやすいもの、燃えたら困るものは近くに置かないようにしましょう。
ポイント3:焚き火の薪の組み方
前述した素材や距離を注意したとしても、想像以上に焚き火の炎が上がってタープが損傷する可能性もあります。
その要因の1つが薪の組み方。
薪の組み方には色々な種類があり、普段の焚き火ではそれぞれを楽しむのも醍醐味ですが、雨焚き火の場合にはおすすめできない薪の組み方があります。
それは”ティピー型”です。
これで組まれた焚き火はエンターテインメント性抜群の焚き火。ド派手で焚き火シーンを盛り上げること間違いなしですが、これをタープの下ですることはあまりにも危険!
”ティピー型”は焚き火台に組んだ薪の倍以上の炎が上がり、輻射熱(ふくしゃねつ)も広範囲に広がります。
そのため、タープ下で焚き火をする場合”ティピー型”は絶対におススメしません。
では、タープ下で焚き火をするときのベストな薪の組み方とはどういったものなのか?具体的な薪の組み方や準備方法について話していきます。
具体的な準備方法やコツ
過去に色々な焚き火をしてきましたが、雨天時は湿度が高く普段より数倍着火しにくくなっています。
これは空気中の水分が熱を奪うからで、こういう状況下ではそれなりの対策、準備方法が必要になってきます。
ですが、ご安心を!
次の通りに実践すれば、意外と簡単に雨焚き火を楽しむことができます。ポイントは焚き付けと着火。
そこに重点を置き、早速、雨焚き火の準備をしていきましょう。
対策その1:早めの薪割と細い薪作り
テントやタープの設営、キャンプギアのセッティングができたら早めの薪割をおすすめします。雨天時、薪はそのまま放置しておくとどんどん湿気を吸っていきます。
そのため、割った薪は地面に直置きせず、シートや台の上に置くようにしましょう。また薪割りは、着火しやすいように細い薪を多めに準備しておくのもポイントです。
対策その2:湿った薪はどうする?
湿った薪は、焚き火台に立て掛けておくことで水分が飛び、着火しやすくなります。
この時、薪と火が近すぎると乾いた瞬間、「ボッ!」っと引火することがあるので立て掛けるときの位置はくれぐれもご注意を。
対策その3:着火!(薪の組み方は2段階!)
ここでおススメの薪の組み方を紹介しましょう。雨焚き火でおススメの薪の組み方は2段階あり、先ずは”井桁組”に組んでいきます。
過去に色々試してみましたが、これがもっとも着火しやすく、火の回りも早いので雨焚き火におすすめ薪の組み方です。
ただ、火の回りが早い分、燃え尽きるのも早い。そのため焚き付けた後は別の組み方に移行させます。(後述します。)
さあ、前準備ができたら焚き火台に火入れをします。相変わらずの雨模様の中、早く着火したいところ。焚き付け用の薪(針葉樹)を井桁に組んで中に着火剤を投入します。
着火剤はホームセンターなどで販売されているものであれば何でもOK。
ちなみにこの時、普段使っているファイヤースターターやチャッカマンではなく、ターボライターやバーナーなど高火力なギアを使用し、迅速かつ確実に着火するようにしています。
”井桁組”の口から煙突効果で炎が上がり始めます。焚き付けの薪がシッカリしている間に太めの広葉樹を置き火を入れていきます。この時、井桁が崩れないようにくれぐれもご注意を。
太い広葉樹に火が入り始めたタイミングで慎重に井桁を崩していきます。ここからは焚き火を長く楽しむために薪を組み替えていきます。
太い薪に細く割った薪を立て掛けていく”並列型”に組んでいきます。
まもなくして輻射熱(ふくしゃねつ)で周りの温度も上昇。手をかざすと熱が体に伝わってきます。
湿気を含んだ薪は大量の煙を発生させ、顔にまとわりついてきます。この煙を燃やすために時折、火吹き棒で「ファイヤー」。
しばしの焚き火タイム…ですが、「グ~…。」そろそろお腹の虫が鳴り始めました。
「腹が減っては焚き火は出来ず!」
そろそろキャンプ飯の準備をしていきましょう。
雨焚き火でも食べたい!おすすめキャンプ飯
「パチパチ…」薪に炎が宿り、体も温まってきたら心に余裕ができ、ゆとりが生まれます。そうなると腹が減ってきます。
ここからは雨焚き火でも食べたくなる「簡単」、「美味しい」、「楽しい」、三拍子そろったおススメのキャンプ飯を紹介します。
オススメ①:簡単甲殻類のアヒージョ
キャンプ飯ラインナップの1つであるアヒージョは雨焚き火でもおススメ。理由は簡単でいつでも美味しいから。
熱したスキレットにオリーブオイルとお好みの甲殻類を入れます。エビ、イカ、タコやホタテなどなんでもOK!
そこにマッシュルームやトマトを入れ、最後にアウトドアスパイス「ほりにし」を振りかけるだけの簡単アヒージョ。
今回は季節の野菜、スナップエンドウを入れてみたら相性抜群。
これだけでお酒が進むこと間違いなしですが、甲殻類の旨味が出たオリーブオイルにチョイ付けしながら食べるフランスパンやクロワッサンは最高です。
ただ一点ご注意を。
雨天時、スキレットの中に雨雫が飛んできてオリーブオイルの上ではじき、飛び散ることがあり危険です。やけど対策として鍋蓋などを用意することをオススメします。
オススメ②:胃袋から熱くなるBBQ丼
「やっぱり肉が食べたい!」焚き火と言えばBBQ!これに関して異論はないはず。
焚き火台の上で燃えている薪を全体に広げ、真ん中に炭を投入。これを勝手にハイブリッド焚き火なんて呼んでいます。
この炭火で焼いた肉を焼肉のタレにダイブさせ、それをメスティンで炊いたアツアツご飯の上にオン。最後に白髪ねぎを載せると、BBQ丼のできあがり。
これをキムチごとかきこむ。そしてビールを流し込む。バリうまです!
胃袋から熱くなり、箸が止まらなくなります。
オススメ③:グルキャンで食べたい、すき焼き鍋!
グルキャン、時折ソロキャン。最近はグループでソロキャンプもやっています。そんな時、皆で焚き火を囲み、ワイワイ酒を酌み交わす時間は本当に楽しいもの。
※グルキャン…グループキャンプの略。複数人でおこなうキャンプのこと。
そんな中、キャンプ飯で登場するのが鍋料理。これは特に寒い季節によくやりますが、雨の時もいただきます。
ある日のグルキャンは朝から雨模様…。そんな状況下、実家の倉庫で眠っていた謎の鉄鍋で作ったすき焼きが大盛況!
降りしきる雨の中、タープ下でキャンパー5人、肉の争奪戦を繰り広げました!盛り上がりすぎて一緒に買っていった卵ワンパックすべて使い切っていました。
一点注意することは火力調整。焚き火直下は常に高火力なので、薪の配置を考えて鍋の休憩所を確保しておきましょう。
まとめ
最後に雨焚き火一番の魅力をお伝えします^^
雨キャンプでは晴れている時には聞こえない音が沢山あり、これらの音を聞いていると心が癒されます。
さらに雨音には周囲の音をかき消してくれる効果があり、人の気配を感じながらも気にならない不思議な空間を作ってくれます。
その空間でほろ酔いの中、ビール片手に焚き火を育てる。「ふと」我に返って時計を見ると1時間経っていたなんてことも…。
これがいいんです…この没頭している感覚が。。
これこそが雨焚き火一番の魅力。
中々良いと思いませんか?
機会があれば体験してみてください。
きっとあなたのキャンプシーンの1つになりますよ。
また、雨焚き火談義やりましょう。
では…^^
雨の焚き火も晴れの時とはまた違って魅力的ですね
そうよ!流石に大雨だと厳しいけど小雨くらいなら焚き火にチャレンジするのもありじゃね
なかむらしんごさん どうもありがとうございました!