キャンプツーリングに適したおすすめテントの選び方を解説します。荷物の積載に限界があるバイクでのキャンプとなれば、どんなテントでもOKというわけにはいきません。大きさや軽さ、設営のしやすさ、天候の変化にも対応できる防風・防水性など選ぶポイントはいくつもあります。その中でもバイクへの積載に焦点を当て、テント選びのコツをまとめました。
もくじ
キャンプツーリングにおすすめのテント選び

私、キャンプツーリングデビューしようと思います!どんなテントがおすすめですか?

ワシの友達の高杉さんに聞いてみよう!

高杉浩さん
20代にバイク雑誌の編集者をしていた関係で、キャンプツーリングを初めました。日本全国、沖縄県以外は、何だかんだでバイクで旅をしています。あれからすでに30年。仕事は変わったけれど、今はクロスカブであちこち走り回っています。
キャンプツーリングでキャンプが先かツーリングが先かは、人によってそれぞれです。これから始める人のほとんどがすでにバイクに乗っていて、日帰りツーリングからキャンプツーリングへとステップアップしようと考えているかもしれません。今までキャンプをやっていて、移動手段をバイクに変更したいという人も中にはいるかもしれませんが、私はそのタイプではないのでこの先の記事は参考にならないかもしれません。何が言いたいかと言うと、私の場合ツーリングメインでのキャンプが前提になっています。その上でのテント選びということで、これから始めようという方に向けての話です。お節介なだけかもしれませんので、気になるところだけ参考にしてみてください。
長く使い続けることもアウトドア

私の使っているテントはと言えば、30年ほど前にお店の人に選んでもらったものを未だに使っています。世界一周ツーリングもしたアウトドアの超ベテランの方のお店で、何も分からなかった私は完全おまかせで選んでもらいました。それが良かったのか、今もズルズルと同じテントを使い続けています。まあ「雨が降っているからキャンプはやめておこう」と、のほほんスタイルだったのも良かったかもしれません。
仕事の関係もあって、今までにいくつかのテントを無料で使わせてもらったこともあったのですが、当然どのテントもメリットもあればデメリットもあるんですよね。なので「買い替えるほどではないかな」となっているのが本音です。もともと登山家のキャンプ道具なんて長く使うことが前提です。凹んだシェラカップや水筒、ツギハギだらけのシュラフなど、物を大事にするところが格好いいですからね。
一番大切なのは収納サイズ

収納サイズは荷物を重ねることも考えよう

キャリアからハミ出すときは板を敷くなどの工夫も
キャンプツーリングで、長く使えるテントを選ぶ際、何に一番気をつけなければいけないかというと、それは間違いなく収納サイズです。1〜2人用テントを選ぶことになりますが、収納したときの横幅が長すぎると走りにくくてたまりません。そうならないためにリアバッグやサイドバッグの幅が一つの基準になります。普通サイズのリアバッグの幅がほぼ45センチなので、これに合わせれば積んでいることを意識せず走れます。大型のリアバッグやサイドバッグ、パニアケースを付けている場合は、それに合わせれば大丈夫です。ただ一泊程度のキャンプツーリングで小さめのバッグを使うのであれば、そちらに合わせたほうが無難です。

テントを選ぶポイントは色々あるけど、バイクに積載するために収納サイズがとにかく重要なんだね!
45センチを基準にして、短い分には問題ないかと言うと、ちょっと微妙です。短くなっても太くなれば、今度は他の荷物と一緒に積むときに積みづらいですよね。荷物が高くなりすぎるのも、重心が上がって走りにくいですから。横幅も最大限活かすほうが積むのは楽です。ちなみにポールが短いと荷物がリアキャリアの下に垂れ下がることがあります。芯がないバッグの場合には板を敷くなどして、キャリアの幅以上に広く使える工夫も必要です。

こういうことですね!
ポールが長いと…

しっかり
固定できる!
ポールが短いと…

縛っても緩んでしまう


場合によっては
ずれて下に垂れる
対処法は…

テントの下に
板を敷くと
ずれを防げる
軽いほどいい

収納時の重さも必ずチェック
次に重さですが、これは軽いに越したことはありません。軽すぎると耐久性が低いのではないかと思う人もいますが、信頼できるメーカーであればそんな事はありません。重くても耐久性に不安があるテントはいくらでもあります。むしろ重いテントはバイクとライディングの両方への負担です。キャンプ道具一式を積むと、子供を乗せて走っているようなものです。少しでも軽いほうが良いに決まっています。フライシート、インナーテント、ポールを別々に購入するのでなければ、信頼できるアウトドア用品メーカーが最適な組み合わせにした中で選べば、軽くても安心です。いくつかのテントで迷ったとき、最後は「有名メーカーの軽い方にする」というのも一つの方法です。

目安は一般的には3~4kgまでと言われているよ!
それ以上だとちょっと重たいかな
以上の点だけ押さえておけば、テント選びで大きく失敗することはないと思います。ですので、この先はお節介の部分に入っていきます。何しろ基本は自分の気に入ったテントであることが重要ですから。気に入らないテントでは小さな不満も大きく感じます。逆に自分が納得したテントなら、大きな苦労も小さく感じるものです。ベテラン気取りのキャンパーがいろいろとおすすめを言ってきても、自分で納得や共感ができるかが重要です。あくまでテント選びの参考程度で考えていただきたいと思います。
初心者は自立型テントが無難&色も重要

ドーム型テントはペグ打ちをしなくても自立する

前室の大きさも判断材料
テントの形にはいろいろありますが、初めてであれば自立型テントにするのが無難です。ドーム型テントであれば自立するので、初心者でも簡単に立てられます。YouTubeなどでは通称軍幕テントと呼ばれるものを使っている人を多く見かけますが、あれは上級者向きです。初心者が一人で立てるとなると、たぶん苦労します。というのも1本のポールと2本以上のロープが釣り合うように、調整しながら立てなければなりません。ペグの刺さりにくい地面では難易度は更に上がります。ここに風が強く吹いたりすると、もう一人ではどうにもできません。テントすら立てられず、一発でキャンプを嫌いになってしまうでしょう。それなりの覚悟をもって望んだほうがいいと思います。
その点ドーム型テントであれば、一人での設置は初心者でも簡単です。1〜2人用であれば、10分もあれば組み立てられます。ドーム型テントは自立するので、ペグを打ちながら組み立てる必要がありません。つまりペグの刺さりにくい地面であっても立てやすさは同じ。手軽さで言えばドーム型テントに優るものはないんです。
ドーム型テントの中にも前室の形状などで種類がいろいろありますが、そこはもう好みの問題です。何事にもメリットとデメリットがあるように、選ぶときにはマイナス面も想像しながら選びましょう。ポールを使って前室を大きく取っているタイプは、重量が重くなることと、風のときには前室が使えないこともあるのを忘れてはいけません。シンプルなものの場合は、前室に荷物が置ききれず、雨の時でも室内に荷物を置かないといけないかもしれません。このあたりは自分の好みと使う状況を考えて選ぶしかないでしょう。いろいろ調べている間も楽しいですから、十分楽しんでください。

どうしてもと言うほどではないですが、注意点をもうひとつ。テント(フライシート)の色ですが、暗い色を選ぶのはあまりおすすめしません。テントは登山とともに進化してきた歴史があります。その中で基本は目立つ色であることが求められてきました。野生動物の観察を目的にするわけでなければ、野生動物から発見されやすくすることも重要でした。遭難したときも同様です。そんな山奥に行くわけではないからと、見栄えを重視したり、ほかとの差別化で黒いテントも最近は増えています。でもどんなに通気性を良くしても、熱の吸収率は高いです。夏はかなり高温になります。夜になれば見えにくいので、酔っ払いがつまづいたりもします。車両が入れるフリーサイトでは、バイクやクルマが突っ込んでくることも、決して冗談ではありません。
ベテランキャンパーの中にはタープのロープにライトを付けている人もいます。それくらい夜のキャンプ場は暗いのです。どうしても暗い色のテントがいいという人は、迷惑にならないように蓄光テープや反射テープも活用してみてください。

夜のキャンプ場は思う以上に暗い

蓄光テープや反射テープも活用しよう
まとめ

理想を言えばキリがないですが、今は暑さ対策に天井窓も標準で欲しいかなと思っています。他にも細かく書けば、自立式のドーム型テントで重量はできるだけ軽く。フライシートはオレンジ色でUVカットで天井窓付き。インナーテントは4面とも床までメッシュで開放できる。ポール本数は3本以内で、折りたたむと45センチほど。両面入口で両面とも十分な前室を備えていること。収納袋は濡れたテントをしまった後の通気性も考え、ある程度の防水に留めつつ、グランドシートやキャンプシューズも入る大きめのもの。もちろんバイクの後ろに積むことも考えて強度も必要だし、コンプレッションバンドで圧縮できることも必要。と、わがまま放題の理想を述べるとこんな感じです。
でもそんな製品はたぶん存在しません。なので、初めてのキャンプツーリング用テント選びでは、自分の理想と妥協できる部分を考え、私の考える最低限の機能以上のテントを選んでもらえると大きく失敗しないと思います。
ツーリングの後に、楽しく朝まで過ごせることがキャンプツーリングでは重要なんです。快適さを選んだり、手軽さを選んだり。できることなら、一度の失敗にめげずに、キャンプツーリングを楽しんでくれると嬉しいな。

積みやすい収納サイズと重量が選ぶポイントということですね!よく分かりました!

そうじゃね!自分の理想も大事じゃけどある程度の妥協も必要じゃね。
高杉さん、どうもありがとうございました。