アウトドアをとことん楽しむWebマガジン

広島生まれのアウトドアメーカー

大山で挑戦!雪中キャンプで寝るときのテント内の寒さ対策を徹底解説

2+

雪中キャンプの楽しみ方やテント内の寒さ対策についてお伝えします。雪中キャンプで寝るとき、テント内は万全な寒さ対策をしておかないと快適に眠ることが難しいと言われています。今回はキャンプ歴30年の「なかむらしんごさん」が鳥取の大山で雪中キャンプをした体験を通して寒さ対策をまとめてくれました。雪中キャンプを始めてみようと思っている方、是非参考にしてみてくださいね。

ハヤブサテントはBears Rockから
提供しています。

#01雪中キャンプの始まり

スタッフA32

雪中キャンプで寝るとき、テント内の寒さ対策ってどういう風にするのがいいんですか?

g-035

今回は経験豊富なベテランキャンパーの「なかむらしんご」さんに聞いてみたよ!

[執筆者情報]

なかむらしんごさまの写真

なかむら しんご さん
職業: キャンプライター・コピーライター

居住地: 岡山県

スキル:行動心理学をベースとしたライティングスキルを活かし、成果にコミットした記事の執筆

経歴:
■歯科技工士として20年間働いた後、コピーライターへの夢を叶えるために6年前に転身
■APCオンラインアカデミーで行動心理学ベースのライティングスキルを学ぶ
■現在はキャンプライター以外にクラファン専門ライターとしも活動中。
■週末は外遊びを探求
将来の夢:自分自身の思いを表現し、出会った人々にワクワクを与える人間として活躍すること

雪中キャンプの様子

 年の瀬、年末の大掃除をそっちのけにして冬空の下、訪れたのは鳥取県の大山にあるキャンプ場。そこはまさに、幻想的な雪の世界。

今回は、普段とは一味違う雪中キャンプの楽しみ方や寒さ対策について私の体験を通してお伝えするので、皆様と共有できれば幸いです。

もちろん、心も体も温まるおススメのキャンプ飯も紹介するので、どうぞお楽しみに!

▢キャンプ場の紹介

DACG大山オートキャンプ場の写真

鳥取県伯耆町にあるDACG大山オートキャンプ場。ここはNHKで実施された「日本明峰ランキング」でベスト3に選出されたこともある鳥取県の大山の麓、標高500mに位置します。

大山オートキャンプ場の場内地図

 こちらのキャンプ場は別荘地の空地を利用していて、静寂の中、大山を眺めることができる最高のロケーションになっています。

ソロキャンパーはもちろんファミリーや初心者でも快適に過ごせるように設備も充実しています。ゴミは各々で持ち帰りますが、炭や灰は処分するところがあります。

サイトは車の横付けが可能なので、道具の搬入が楽でした。個人的には暖房便座がありがたかった。何より管理人さんが本当に感じの良い方で丁寧に対応していただきました。

▢今シーズンの初雪に心躍る!

管理人さんからキャンプ場の説明を受けている様子

 雪が少ない地域で育った私たちにとって、雪は特別な存在。雪景色を見るだけで感動します。

霧なのか雲なのか、全貌が見えていない大山を眺めながら、管理人さんからキャンプ場の説明を受けます。胸が高鳴ります。

早速、スノーブーツに履き替えて、サイトに入場。いよいよ雪中キャンプの始まりです。

〇雪を踏みしめてサイトを作る

雪を踏み固めてサイトを作る様子

 設営場所を決めたら、ブーツとスコップを使って圧接作業。目安はグランドシート1枚分より少し広め。今日は12月29日。積雪は30cmで軽く、雪質も柔らかい。フワフワとした足元が心地良い感触を与えてくれました。

〇グランドシートは2枚使用

グランドシートを2枚使用している様子

 グランドシートは2枚。1枚はテントの下、もう1枚は手前に広げ、使用するテントや寝袋などを置いていきます。今回のようにサイトの状態が特殊な場合、この方法が役立ちます。

これでキャンプギヤが濡れたり汚れたりするのを最小限に抑えることができます。

撤去の際も同様。できるだけ濡らさないようにシートの上で作業をすることで、自宅に戻ってからの道具のお手入れが格段に楽になります。

▢雪中キャンプの頼れる相棒、ハヤブサテント

ハヤブサテントの写真

 本日の相棒は、ハヤブサテント。雪に舞い降りたハヤブサのような個性的なデザインが、雪に映えます。色はカーキで軍幕っぽくて渋い。

素材はしっかりしている。寒さ対策は必要ですが、雪でも快適な空間を作れそう。(寒さ対策については後ほど詳しく説明します。)

機能面も問題なし!軽量コンパクトなので、取り回しは驚くほど簡単。設営も楽々と進められ、楽しくなってきました。

ペグについては、テントに付属されているスチール以外に鍛造と砂ペグを用意していましたが、今回は鍛造を使用しました。

〇スカートが快適さをサポート!

フライシートのスカートの上に雪を積んだ様子

 ハヤブサテントには、スカートが備え付けられています。テントをペグで固定したら、フライシートのスカートの上にスコップを使って雪を積み上げます。

こうすることで、下から入ってくる冷気をシャットアウト。これでテントをサポートし、ぬくもりを逃さないので、寒い冬でも安心です。このひと手間が、雪中キャンプをより一層快適にします。

〇ベストな位置でブーツの脱着可能!

スノーブーツの写真

 インナーとフライシートの間にスペースがあるおかげで、テント内に座ったままでスノーブーツの脱着が可能。スノーブーツって暖かいけど、脱着が面倒なんです。

そのため、ベストな位置でブーツを脱いだり履いたりできるのは本当に助かります。このちょっとしたアイデアが、雪中キャンプをより一層快適にしてくれます。

#02寝るときのテント内の寒さ対策3選

雪中キャンプ 夜の様子

 雪中キャンプを快適に過ごすためには、テント内の寒さ対策が欠かせません。これには主に3つのポイントがあります。

1.底冷え対策

2.保温対策

3.熱源の確保

ここでは一切の妥協は許されません。準備を怠らず、心地良いテント内を作っていきましょう。

①底冷え対策

底冷え対策用のキャンプグッズの写真

 底冷えを攻略するためには、マット選びが非常に重要。キャンプ用マットには様々な種類がありますが、主に3つのタイプに分類することができます。

1.空気だけで膨らむエアマット

2.クッション材が空気を取り込む
インフレーターマット

3.広げるだけで使える
クローズドセルマット

ここで底冷え対策を考える際に重要なのが「R値」。この数値が高いほど断熱性能に優れていると言えます。

また、「R値」はマット同士を重ねることで足すことも可能。ちなみに真冬の目安はR値6.0以上。今回、私は裏面が断熱防水仕様で表面が起毛タイプのキャンプマットをテント全体にセッティング。

その上にR値2.0のクローズドセルマット、さらにR値4.2のインフレーターマットを重ねたので、トータル6.2以上のR値を確保。これによりコストを抑えつつも徹底した底冷え対策を実現しました。

②保温対策

Bears Rock -34度マミー型シュラフの写真

 マットで徹底的に底冷え対策をしたことで、寝袋の保温効果を最大限引き出すことができます

そこで今回は以前から気になっていたBears Rockから販売されている話題の『-34度マミー型シュラフ』をゲットしました。この最強シュラフは私の周りでも結構話題になっていて、実際に同スペックの封筒型を使っている知人からも高い評価を得ています。

今回、雪中キャンプで使用した感想は、とにかくモフモフで温かい!私がチョイスしたのはマミー型ですが、シュラフの中は包まれている感覚がありながら、寝返りを打てるほどゆとりがあり、ストレスなく眠ることができました。

足元には余裕で湯たんぽを入れることができます。サイドからは肩口が冷えない程度に腕の出し入れが可能で、シュラフに入ったままスマホを操作したり、ギターを弾いたりとテント内でゴソゴソできるので、超寒がりの私にとって大変ありがたい設計になっています。

③熱源の確保(ストーブは暖かく快適だけど…)

テント内で石油ストーブを使っている様子

 冬キャンプには必ず石油ストーブ持参です。これがほんとうに超快適。ストーブは暖をとるだけでなく、お湯を沸かしたり、調理をしたりと何かと重宝します。

その反面、一酸化炭素中毒や火災といった重大事故をおこすリスクが伴います。そのため、徹底した安全対策が欠かせません。ストーブを使う時には必ず換気をし、火の元には十分注意を払いましょう。

ここで重大事故を回避するために必要なアイテムが2つあります。1つ目はベンチレーター。この装備があれば、テント内の空気を循環させ、安心して過ごすことができます。

2つ目は一酸化炭素チェッカー。もしもの時はこれがアラームや光で危険を知らせてくれます。

◆安全必須アイテムその1: ベンチレーター

ベンチレーターの写真

ベンチレーターとは換気口や換気窓のこと。ハヤブサテントにはフライシートとインナーテントの両方にこの装備が備わっています。これにより、テント内の空気が循環し、安全で快適な空間を作りだせます。


テント内の開口部を全て開けている様子

石油ストーブを使用する際は、これらすべての開口部をオープン。さらに、フロントの出入口も開放することで、大きな空気の流れを作ります。このひと工夫で一酸化炭素中毒になるリスクを回避することができます。

◆安全必須アイテムその2:一酸化炭素チェッカー

一酸化炭素チェッカーの写真

 石油ストーブをテント内で使う際には、一酸化炭素チェッカーは必須。チェッカー無くしてのストーブ使用は絶対に避けましょう。

今回、開口部フルオープン状態でストーブを使用しましたが、テント内は23度まで上昇したので驚きました!

また、一酸化炭素チェッカーの感度を確認するために、一度だけ入口を閉めてみましたが、数秒でチェッカーの黄色ライトが点灯!アラームが鳴り響いたため、すぐに開放しました!

テント内でストーブ使用には、一酸化炭素中毒以外にも火災のリスクも伴います。就寝時、ストーブは必ず消し、入り口を閉めてお休みください。

就寝前に翌朝使うストーブのタンク残量も忘れずにチェックしておきましょう。安心安全を心がけることで、快適な雪中キャンプを過ごすことができます。

#03楽しみ方やおすすめのキャンプ飯

▢雪中焚火

雪中キャンプの様子

 雲がかかっていて遠望する大山は山頂が拝めず少し残念でしたが、ふぶくこともなく焚火には最高のシチュエーションでした。

火のまわりもいい感じ。今回の薪は当たりだったようでよく燃えます。火吹き棒で焚火台に空気を送り込めば、あっという間に着火しました。

焚火台の写真

 炎も真っ直ぐ上がります。「パチパチ」、「シューシュー」と奏でる焚火の音を聴きながら、しばらくの焚火鑑賞。「極楽じゃぁ…」

ヤカンで湯たんぽのお湯を沸かしていたら、そろそろ腹の虫が鳴き始めました。

旨い辛いの鍋で胃袋から温まる

調理中の様子

 本日のキャンプ飯は鍋。旨い辛いの『辛屋の濃厚とんこつ鍋』を持って来ました。この鍋の元の裏レシピが美味すぎると知人から教えてもらったもので家族にも大好評ですが、なぜか店頭で見かけることができないミステリアスな鍋の元。

前日に家で仕込んだ具材をスープごと鍋に入れ、焚火台に載せるだけの簡単料理。焚き火なので火力調整がたいへんですが、あっという間にキャンプ鍋のできあがり。

まずはビールで乾杯し、アツアツの豚バラとキャベツをシェラカップごとほおばる。絶妙な辛さと追いニンニクが食欲をそそります。

食べるうちに胃袋が熱源となり、その熱は体全体に広がり、頭頂部からつま先まで温まりました。

食事の写真

 スープごと完食した鍋を横に、雪中焚き火はまだまだ続きます。夜になると気温が低下。足元の雪はカチカチに凍っていて氷の上に立っているみたい。

熱で徐々に沈んでいく焚き火台を眺めながら、ほろ酔い気分で昔のキャンプ話に花が咲きました。

▢瞬く無数の星々に魅力され…!

夜空の写真

 夜中、静寂の中でかすかに響く誰かの寝息を耳にしながら、ふと目が覚めました。

テントの外は震えるような寒さに包まれていて寒さが身にしみます。見上げると雲ひとつない空に無数の星々の瞬き。思わず手を伸ばして星を掴もうとしている自分がいました。

寒さで震える中、宇宙との繋がりを感じるひと時に心が満たされ、年甲斐もなく感動。

▢氷上で味わうコーヒーと元気印の朝カレー

朝6時のキャンプ場の写真

 朝6時、静寂の中で目を覚ますと体はポカポカで心身共にスッキリ。しっかりテント内の寒さ対策をしていたので底冷えを感じることなくシュラフの中でぐっすり寝ることができました。

しかし、テントの外は雪の冷気に包まれていて天然の冷凍庫状態!冷たさが肌に伝わってきます。これも雪中キャンプの醍醐味の一つではありますが…。

コーヒーを淹れている様子

 先ずはストーブに火を入れヤカンをセット!沸騰したお湯をドリップパックに注ぐと、辺りにコーヒーの香りが漂い、心が癒されます。朝の目覚めはやっぱりコーヒーがいい。

朝食のレトルトカレーを温めている様子

 雪の上では手早く調理ができるものがベスト。そこで朝カレーの登場。お湯が残ったヤカンを鍋代わりに、レトルトカレーを袋ごと投じます。

米はアルコールストーブで自動炊飯。最近のレトルトカレーはマジで美味いです。朝の活力を与えてくれます。アツアツのカレーを食べれば、寒さを忘れ、パワーがみなぎってきたように感じました。

朝食のカレーの写真

 さらにシジミ汁。これで肝臓も良し!カレーとしじみ汁、そしてコーヒーという組み合わせで元気印のモーニングセットをいただきました。

▢雪中キャンプの余韻を残したままスムーズに撤収

テントの撤収の様子

 チェックアウトまで残り2時間。そろそろテントの撤収に取り掛かる。毎回ですが、キャンプ道具の片付けは正直面倒です。でも今回はスムーズに撤収完了。軽量コンパクトなテントだから助かりました。

撤収後の様子

 撤収がスムーズだと心にゆとりが生まれます。名残惜しさも出てきました。今回の雪中キャンプで感じた体験を思い出しつつ次回のキャンプに向けて心を躍らせます。

#04まとめ

▢最後に…

夜のキャンプの様子

 家路につく車の中、夜中に見た瞬く無数の星々や、雪の中で揺れる焚火、そして熱々の旨辛鍋の味が鮮明に蘇ってきます。この特別なキャンプの余韻を残しながら、少しずつ日常に戻っていく感覚がなんとも心地良い。

何よりうれしいのは、テント内の寒さ対策が成功したこと。これについては色々と悩んだので、結果が出たことに大満足!

寒さ対策を怠らなければ、雪中キャンプは本当に快適。みなさんもぜひ、この魅力的な冬のキャンプを体験してみてください。心に残る素晴らしい思い出が待っています。

スタッフA136

寝るときのテント内の寒さ対策、とっても参考になりました♪

そうじゃね!朝からカレーを食べるのも元気になれそうで真似したくなったわ~ なかむらしんごさん、どうもありがとうございました!

2+