寝袋の「化繊」と「ダウン」、2種類の素材を同じ条件で比較してみました。どちらも限界温度-34℃対応ですが、実際の使い心地には違いが出るのか?という疑問に答えるため、「田中一馬さん」に冬の車中泊での使用実験を実施してもらいながら、化繊やダウンそれぞれの特徴も併せて紹介します。冬用シュラフの選び方に迷っている方に向けて、自分にはどちらが合っているか是非参考にしてみてくださいね。
マミー型センタージッパー寝袋-34℃はBears Rockから 提供しています。
もくじ
寝袋の比較をしてみた
冬用の寝袋の素材は化繊とダウンどっちが良いんですか?
経験豊富な田中一馬さんが冬の車中泊で試したみたいだから、どうだったか聞いてみたよ!

田中一馬さん
キャンプ歴6年、ソロキャンプを中心に行っているアウトドア系ライターです。バックパックキャンプを行うため軽量コンパクトなギアを好んで使用。料理好きなためクッカーにこだわりがあります。
寝袋を選ぶ際に「化繊」か「ダウン」どちらを使用した寝袋の方がいいのか悩んだことはないでしょうか。結論としてはそれぞれに優れた部分があり、より利便性を感じられるかは「用途」や「使用環境」によって決まります。今回は同じ使用温度帯の化繊とダウンの寝袋を車中泊で使用してどのような結果が得られるのか検証してみました。寝袋選びに悩んでいる方のヒントとなる記事となっています。
過去使用してきた寝袋について
筆者はキャンプを始めた当初はUL(軽量)ハイカーのようなバックパックキャンプが好きで、とにかく軽量で高機能なものを目指し、ダウン製の寝袋を使用していました。ダウンの寝袋は高価格であり、有名なブランドであると手が出なかったので、中国製で評判のいい3シーズン用のダウンシュラフを使用していました。真冬は保温性が足りない場合がほとんどなので、防寒具を利用して寒さをしのぐような使い方をしています。
化繊とダウンのシュラフと特徴の違い(大きさ・重さ・素材)
今回比較検証のために使用したシュラフは以下の物です。
●【化繊】Bears Rock -34℃マミー型センタージッパー寝袋
●【ダウン】MAMMUT コンフォートダウンバッグ-5℃
両者とも使用下限温度(体温を保てる限界の温度)は-34℃となっており、それぞれの見た目の違いは化繊とダウンの素材の特性を表したものになっています。MAMMUTのダウン寝袋はコンパクトで軽量、Bears Rockの化繊寝袋は重くサイズも大きいという印象です。
よく「保温性は化繊よりダウンの方が上」という意見がありますが、「同じ封入量で比較した場合ダウンの方が保温性が高い」というのが正しい認識です。今回のBears Rockの寝袋のように中綿の封入量を増やせば、ダウンと同等の保温性を実現できます。ダウンが優れているのは、断熱効率の良さによる「携帯性」といったほうが正しいのではないでしょうか。
特性を理解した上でもダウンのほうが優れているように感じますが、冒頭で説明した通り「用途」や「使用環境」によって、その利便性は変化します。
実際に使用してみた感想
実際に2つの寝袋を冬の車中泊で使用して、寝心地や保温性について検証してみました。寝袋使用時は、湖畔沿いで-2、3度でした。筆者の車中泊はフルフラットにならない古いジムニーを利用したもので、ボックスやクッションを利用して平面を作り、エアマットを敷いてそこに寝袋を利用して就寝するスタイルで行っています。
まず両者とも優れていたのが保温性であり、真冬の環境でも寒さを感じずに眠れたのですが、大きく違ったのは「寝心地」でした。ダウンの場合、若干凹凸のある環境で横になっているため段差を感じますが、化繊の寝袋の場合、体の下部分のロフト(寝袋のふくらみ)が潰れにくく、段差を感じずに寝ることができました。
Bears Rockの寝袋は冷えやすい足元と首回りの密度を高くして冷気が入りにくく断熱性を高めている印象です。MAMMUTのダウン寝袋は均一にダウンが封入されている印象で、首回りに空間ができないようにドローコードを設けて隙間を調節できる仕組みになっています。
寝袋を使う上で重要なのがジッパーの開閉のスムーズさです。MAMMUTのものはシンプルな構造でしたが、Bears Rockの寝袋はジッパーが生地をかまないようにテープ処理が施されており、トラブルが少ない設計になっています。狭い車内やテント内で開閉がうまくいかないのは、大きなストレスとなるため細かい部分にこだわっている印象です。
筆者のジムニーは古いため密閉性が低く、検証時に結露は発生しませんでしたが、一般的な車の場合は結露がおきやすいので、湿気で保温性が下がりにくい化繊はダウンより車中泊に向いているのではないしょうか。
自分にはどちらが合っているのか?結論とその理由
今回化繊のBears Rockの寝袋とダウンのMAMMUTの寝袋を比較しましたが、車中泊中心にキャンプを行っている現在の自分に合っているのは「Bears Rockの寝袋」で、選んだ一番の理由はフルフラットにならない車内環境を寝袋のクッション性で快適にしてくれた点です。この事実はダウンの寝袋を中心に使っていた人間として今まで感じたことがなく非常に驚いた点です。
さらに個人的な部分ですが体形の変化により肩回りが大きくなったことで、一般的なマミー型の寝袋だと窮屈で寝返りが打ちにくく不快な思いをしていたのですが、Bears Rockの寝袋は肩回りに空間がある形状となっており寝返りが打ちやすかったのも好印象でした。
最後にソロの車中泊が中心であり、車載スペースに余裕がある点も、化繊寝袋のデメリットである収納サイズの大きさが気にならないということもポイントとなっています。
化繊の寝袋が向いている人とダウンの寝袋が向いている人
今回の検証や筆者が使用してきた製品の印象から、化繊とダウンそれぞれに向いている人のタイプを以下にまとめました。
●「リーズナブルさを重視」「ソロ車中泊・少人数のオートキャンプ中心」の場合は化繊の寝袋がおすすめ
●「バックパック・グループキャンプ中心」の場合はダウンの寝袋がおすすめ
筆者のようにソロや少人数で車を利用したキャンプを行う場合は、車載スペースの制限がないため化繊の寝袋の方がリーズナブルに購入できて管理も楽であるため有力な候補といえるでしょう。
グループやファミリーでキャンプを行う場合に1台の車で車載スペースを確保する必要があったり、バックパックキャンプを行ったりする場合は、ダウンの寝袋の携帯性の良さが大きなメリットになります。
化繊かダウンどちらかで迷った場合は、上記のような基準で考えると失敗が少ないはずです。
撮影時のキャンプの様子と2つの自作ギア
撮影時には自作のキャンプギアを用意して楽しみました。ひとつは「キャンプ用のこたつ」で、豆炭を利用したこたつキットを使用して、折り畳みテーブルと組み合わせて携帯できるようにしています。
豆炭は一度火を点ければ翌日まで温かさがキープされるので、体温が下がる朝もポカポカに過ごすことができて便利です。換気のため開けっ放しになるので、悪天候に弱いですが寒い冬でも景色を存分に楽しめるのが大きなメリットです。
もう一つの自作キャンプギアは防水シート付の収納ボックスです。ミリタリー風にペイントして仕上げてあります。狭いジムニーで車中泊をする場合に荷物を外に出さないと、就寝することができないので、風雨にさらされても荷物が濡れないようになっています。ボックスに施した錆び加工により使っていくうちにエイジングが進むのではないかと楽しみにしています。
まとめ
今回、製品比較のためにテストや観察をした結果、各メーカーのこだわりが感じられたり、新たな発見が生まれたりして楽しい時間が過ごせました。特に筆者ジムニーの寝心地の悪さが幸いして、化繊の寝袋のクッション性に気付けたのはとても印象的でした(笑)今後もキャンプを楽しみながら、今回のような楽しい発見をしていけたらと思います。
どちらの素材にもメリットがあるけど私はグループキャンプが多いからダウンの寝袋がいいのかなと思いました!
使用用途で自分に合ったものを選ぶのが一番じゃね!
田中一馬さん、どうもありがとうございました!!















